『免疫力』の考え方とビタミンC|横浜・桜木町の【テティス横濱美容皮膚科】

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『免疫力』の考え方とビタミンC

免疫力、免疫細胞、自然免疫、獲得免疫とビタミンC

昨年末から始まった新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大は、この記事を書いている5月現在いまだ終息の見通しも立っていない状況です。アビガンやレムデシビルの国内承認がようやく決まり始めたとはいえ、現在でも予断を許さない状況に変わりはありません。アビガンやレムデシビルなどの治療薬の効果が期待される中、もう一つの期待は「予防接種の開発」です。日本だけでなく各国急ピッチで進められています。新型コロナウイルス感染の多くは無症候や軽症で終わるようですが、一部の患者さんは一気に重症化してしまう厄介な面もあります。その差は何かと考えると、一つはコロナウイルスが体内に入ってきた時、まさにその時の“暴露量”です。暴露量が多くなるその要因は、感染源であるかたがウイルスをたくさん排出している状態であること、そしてウイルスが充満してしまう空間にどれぐらい滞在してしまったかによると思われます。政府が掲げる『3密回避』は、そのためでもあります。そしてもう一つ、ウイルスが体内に入ってきた際、個々の免疫がどれほどしっかり働いたかはとても重要な話です。「たかが免疫、されど免疫」です。

「免疫」があるからこそ

誰もが知る「免疫」ですが、普段から意識することはあまりないと思います。風邪をひいた時や疲れがたまりやすい時ぐらいではないでしょうか。例え風邪をひいても「お、免疫がたくさん働いているぞ!」と体感することはあまりないと思います。しかし「免疫」があるからこそ私たちは生きていける、逆を言えば免疫なしには生きていくことが難しいです。免疫は日々働き続け、体内に侵入した細菌やウイルスなどと戦い、記憶し、次に備えるということを行っています。人類が誕生以来、数々のウイルスと戦い、免疫が働いてきたはずで、だからこそ人類が生存し続けている理由でもあります。さて今回の新型コロナウイルスに対してはどうでしょうか。もちろん、しっかりと免疫が働いてもらわなければなりませんし、感染したかたの体内ではしっかりと免疫が動いているはずです。しかしその免疫の働きに対して新型コロナウイルスの抜け道があるかもしれず、またサイトカインストーム(免疫の暴走)も報告として聞かれるようになり、重症化してしまうことも考えられています。だからこそ、サイトカインストームまでいかないように、特に感染初期に免疫(特に自然免疫)がしっかりはたらくことが重要と考えます。

「免疫力」とは何?

免疫細胞、自然免疫、獲得免疫

免疫とは細菌やウイルスからなど身体を守るために防御システムです。そしてその担当は免疫細胞である白血球です。白血球は上図のごとく種類が豊富で、それぞれが役割をもって動いています。さて「免疫」とは上記の通り、防御システムのことですが、「免疫力」とは何でしょうか?「免疫力を上げる」「免疫力アップ」なんてワードはよく目にします。私もよく患者さんに「免疫力が下がらないように・・・」なんて簡単に用いることもあります。保険診療で帯状疱疹や単純ヘルペスを診察した際、患者さんに「免疫力が下がる時に神経内に潜んでいるウイルスが活発になる」なんて説明を皮膚科医はすると思います。医療者でも「免疫力」という言葉はよく使いますが、正直説明の難しい言葉です。その理由は、免疫力を客観的に数値として100%把握することが現代医学では不可能だからです。つまり、どの状態であれば免疫力が上がったのか、下がったのかを知ることは難しく、そもそも免疫力は上げることができるのか・・・と様々な疑問がでてきます。もちろん免疫細胞である白血球の数やその分画(種類、割合)を健康診断で行う採血で知ることは可能です。しかしあくまでも採血でわかるデータは、“免疫力”を現したものではありません。では免疫力をどう考えたらよいのでしょうか。

免疫力の考え方

免疫力というものは単純に言えば「免疫の強さ」です。より具体的に考えられるその強さの一つは「攻撃力」、もう一つは「攻撃のバリエーション」でしょう。まずは攻撃力について、テレビゲームのように攻撃力をゲージで表現することができるのなら、その最大値が個々にあり、80の人もいれば、50しかない人もいるということです。

免疫細胞、自然免疫、獲得免疫

そして、それは生涯にわたって変化していくものです。さらに付け加えると、日常生活において免疫力が常に最大値のままということはないということも忘れてはなりません。個々が持つ最大値から普段はその80%、人によっては50%しか免疫が働けない状態にあるかもしれないということです。免疫力が下がると言われる状態になる原因には、疲労や寝不足、食事の偏り、激しい運動後、精神的なストレス、過度の日焼けなど日常経験するものばかりです。簡単に免疫の働きは悪くなり、普段80あるのに40まで減るということもありうる話です。それは大人だけでなく10代の若者でも簡単に免疫力は下がることを忘れてはなりません。では「免疫力をあげよう!」とか「免疫力アップ!」という事はどう理解すればよいのでしょうか。個々の持つ最大値以上には簡単にならないのであれば、何を上げるのでしょうか。それは、普段の免疫力は最大値より少ない状態であるのが普通です。つまり普段の状態から自己が持つその最大値近くまで常に引き上げておきたい、それが「免疫力をあげる」ということだと思います。

免疫細胞、自然免疫、獲得免疫

次に「攻撃のバリエーション」は、病原体に対する対応能力の幅のことです。ロールプレイングゲームで置き換えると、敵と戦って経験を積むと技が増えることと同じです。免疫も様々経験することで攻撃の幅が増え、次に備えることができます。ちなみに人工的にそれを強化するのが予防接種です。今回の新型コロナウイルスに対する予防接種が早急に望まれていますが、予防接種をして免疫をしっかり獲得するのにも自己免疫が正常に働かなければなりません。だから体調が悪い時は、予防接種の効果が低くなることも考えられます。

以上から免疫力は「攻撃力」と「攻撃のバリエーション」を総合して考えるものです。しかし、それを簡易的に数値化できないため、客観的な評価、医学的な評価は難しいのが現状です。とはいえ、免疫力を維持することはとても大切であることが理解できると思います。そして、いくら抗ウイルス薬が今後開発され、投与されても、そもそもの免疫がしっかり働かなければ、もともこうもありません。免疫が病原体に打ち勝つことが前提であることも忘れてはならない事実です。

「自然免疫⇒樹状細胞⇒獲得免疫」が免疫の軸

免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」があり、感染初期に防御システムとして頑張るのが自然免疫です。自然免疫を担当するのは主に好中球やマクロファージ、NK(ナチュラルキラー)細胞といった免疫細胞です。NK細胞は最近メディアでも取り上げられるようになったので知っている方も多いと思います。これらの細胞は侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体に対して初めに動き、直接攻撃をして排除を狙います。そしてこれら自然免疫は、同時に「樹状細胞」という免疫細胞を活発化させます。この樹状細胞は病原体を取り込んで、その成分をT細胞というリンパ球に情報を渡します。Tリンパ球はその情報を元に、さらにピンポイントで病原体を狙い撃ちすることができます。そしてもう一つ、病原体に対して直接的に無毒化できる抗体をつくるBリンパ球もあります。このT、Bリンパ球による免疫システムは、次に備えることができる「獲得免疫」と言われるものです。「自然免疫⇒樹状細胞⇒獲得免疫」という流れがいわゆる『免疫』の全体像です。

今回の新型コロナウイルス感染症の場合、感染初期にどれだけ自然免疫がしっかり働いたか、そして自然免疫でカバーできるウイルス量であったかによって無症状、軽症、重症への道が別れたのかもしれません。高齢者や基礎疾患があるかたは健康な10代、20代と比較したら当然、免疫力のベースは低く、重症化リスクは高いです。もちろん若者でもその日の体調が悪い、疲労がある、寝不足であるなどの状態であれば、免疫がしっかり働かず、重症ケースとなるリスクも当然あるわけです。若者は重症化しないと当初言われてきましたが、決してそうではないのです。

そして免疫の2番目、獲得免疫であるTリンパ球やBリンパ球から産生される抗体が体内で増殖したウイルス量にしっかり対処できているということも重要です。しかし、ウイルスは基本的に細胞内に入り込むので、自分の細胞も同時に破壊してしまうという難点があります。感染細胞が多いほど重症化しやすく、そして急変しやすいのも、その理由です。そう考えると、初動の自然免疫はとにかくしっかり働いてもらわねばなりません。

免疫力を上げる、維持する方法とビタミンC

上記したとおり、免疫力の容量はある程度決まったものがあります。その決まった中での増減があるはずで、なるべく「減」とならないように意識してみる必要があります。生活においてはストレスや睡眠、食事、適度な運動、便秘など消化器症状など目を向けるべきポイントは山ほどあります。そしてもう一つ、食事と同系統の話ですが、サプリメントの活用です。特にビタミンCは積極的に活用したい物質の一つです。免疫細胞の中にはビタミンCが多く含まれていることがわかっています。この意味するところは、ビタミンCがなければ、免疫細胞は正常に働けない、感染のリスクや重症へのリスクが高まるということです。さらに掘り下げると、ビタミンCは免疫細胞の動きや貪食作用(病原体排除の強さ)を高めることが示唆されています。また、免疫細胞は病原体を死滅させるために、活性酸素を排出しています。その際、自己細胞、それこそ活性酸素を産生する免疫細胞もその活性酸素でダメージを受けやすい状況でもありますが、ビタミンCなどの抗酸化物質が豊富にあれば、それが回避でき、免疫細胞の活性は落ちにくくなるのです。過去にはリンパ球の酸化的 DNA 損傷の抑制やリンパ球の機能改善を示す報告があり、またリンパ球の成熟の場である胸腺萎縮の抑制もするという報告もあります。

しかし、人間はこれだけ有用性の高いビタミンCを体内で作ることはできず、外から取り入れなければなりません。ビタミンCは今回の感染に対する作用だけでなく、様々な組織で必要とされるため、食事から摂取される量ではとても足りないことが想像できます。つまり、食事だけで十分とれていると思ったらそれは過信であり、生きていく上での必要最低限と言っても過言ではありません。健康のため、美容のためとなるともっと必要になるのです。

リポカプセルビタミンC、1日摂取量、サプリメントビタミンCに限らず、どのサプリメントも1日摂取量と継続性が重要なポイントです。特に後者、「効果がないから数か月でやめる」「飲んだり、飲まなかったり」・・・はもったいない使い方です。飲むならしっかりとした量を、定期的に飲むことが必要です。それでは、ビタミンCの摂取推奨量はどれぐらいかというと、1000~3000mg/日です。これだけの量を1回で飲むのは通常のサプリメントでは困難ですし、消化管でのビタミンC吸収率の問題(1回量500㎎を超えると吸収率は下がる)もあるので、だいたいは1日3~4回に分けて飲むことが良いでしょう。ちなみに、当院で取り扱っているリポかカプセルビタミンCは、吸収ルートが異なるため、1回量で1000mgの投与、吸収が可能です。どれをとっても吸収される場は消化管ですので、便秘や下痢があるようならその改善も必要です。そして、消化管は消化・吸収・排泄する場であるとともに、免疫細胞が頑張っている重要な場所(腸管免疫)というのもわかっています。詳細は割愛しますが、サプリメントを有効利用させたいなら腸内環境にも目を向けるべきと思います。

今後に備えて

免疫は人間が生きていく上で欠かせないシステムです。その劣化は単に老化だけではありません。生活習慣も大きく関わります。日々意識することで、免疫は維持され、100%働ける状態になります。生活改善もサプリメント摂取も、突然結果が現れることはありません。マスクの着用も必要となれば、無意識にするようになったと思います。だから物理的な防御だけでなく、免疫力の維持も必要と感じてください。そして新型コロナウイルスだけでなく、今後あるかもしれない新しい感染症のために、備えておきたいものです。

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